報告者 学校薬剤師委員会 宮島 孝之
日時:令和8年8月6日(木)
目的:幼児・生徒の心と体の健全発育・発達を目指し健康教育の当面する課題について研究協議し、その具体的な方策を究明するとともに、健康教育の充実と発展に資する。
主題:子供たちのウェルビーイングの実現に向けた健康教育の充実を目指して
学校環境衛生と安全教育
課題:快適な学校環境づくりと実践力を高めるための安全教育
研究協議の内容
・安全で快適な学習環境づくりを目指す学校環境衛生活動の進め方
提案者:新潟県新潟市立小瀬小学校 養護教諭 澤田 香菜 先生
近視予防のためにできる環境づくり
環境整備とヘルスビリーフモデルを用いた保健教育の実践
1. 近視が問題となっている背景
- 子どもの近視は増加しており、特に高学年では視力低下が深刻な問題となっている。
- 近視には遺伝的要因だけでなく、長時間の作業などの環境要因も関係している。
- 1人1台のタブレット端末の導入により、画面を見る時間が増え、目の疲れや身体的疲労を感じる児童も多い。
- そのため、正しいタブレットの使い方を身につけるための環境づくりと保健教育が必要と考えた。
2. 学習環境の改善
- 教室の照明・採光の確認
- タブレット使用を考えると、従来の照度基準だけではなく、PC使用時に適した明るさを考慮する必要があると判断。
- 遮光カーテンの設置
- 窓からの光によるまぶしさやタブレット画面への映り込みを軽減。
- 設置後、机上の最大・最小照度や画面の照度が低下し、より適切な環境になった。
- テレビ画面への反射防止フィルム
- 照明や窓からの光の反射を抑え、画面を見やすくした。
- 良い姿勢のイラスト掲示
- 児童が自分の姿勢を見直せるようにし、教職員も声かけを行った。
- 30・30・30運動 タブレットの角度を30度に 画面から30cm目を離す 30分タブレットを使ったら目を休める
- 教職員への啓発
- ICT機器を健康に使用するための資料を共有し、タブレットを傾けることで画面への映り込みを防ぐことなどを周知した。
3. ヘルスビリーフモデルを使った保健教育
「ヘルスビリーフモデル」は、健康行動を促すために、
①疾病にかかる可能性の自覚 (罹患性の自覚)
②疾病の重大さの自覚 (重大性の自覚)
③利益の自覚
④障害の自覚
などを捉える考え方です。
今回の授業では、近視になった人の実体験を紹介し、「近視は自分にも起こり得る」「視力低下は重大な問題である」という意識を高めることを目指しました。
また、
- 良い姿勢と悪い姿勢を比較する
- 目に優しいタブレットの使い方を児童自身で考える
- 「アイモデル」を作成して具体的な対策を考える
といった活動を行いました。
4. 教育後の効果
保健教育後には、「罹患性の自覚」「重大性の自覚」などの意識が高まったことが確認されました。
特に、
- 「罹患性の自覚」について、8割以上の児童が意識を高めた
- 「重大性の自覚」については、学級の全児童が意識を高めた
- 指導前後の点数には統計的にも有意な差が認められた
- タブレット使用時の姿勢が改善した
- タブレットを使わないときに目を休ませる児童が見られるようになった
- 天気の良い日に外遊びをするなど、目に優しい行動も見られた
という変化がありました。
結論
この実践では、「環境を変えること」と「児童の意識を変える保健教育」を組み合わせることが、近視予防に有効だったと考えられています。
つまり、
遮光カーテン・反射防止フィルムなどで学習環境を改善する
+
ヘルスビリーフモデルを使って近視のリスクや重要性を理解させる
↓
正しい姿勢や目を休ませる行動につなげる
という取り組みです。
今後は、学校だけでなく家庭とも連携しながら、児童の良い行動を継続させていくことが課題とされています。
学校薬剤師として、学校環境衛生の検査だけでなく30・30・30運動などの学校環境衛生活動を担当の学校にも情報発信していこうと思います。
